7月6日(日) 礼拝メッセージ要旨
「オリーブの若葉―希望のしるし」 創世記8章1~19節
聖書、特に旧約聖書には重要なことを印象的に言い表すために様々な象徴が用いられています。その中でも興味深いのは、「水」の意味する内容です。大きく分けて旧約聖書では二つの意味を持っております。一つは、水とは、生命の象徴であります。それは旧約聖書の地理的背景が「砂漠地帯」であることから容易に想像がつきます。他方、その同じ水は旧約聖書では、もう一つのイメージを持っています。それは、破壊と破滅をもたらすものの象徴です。「大水」あるいは、「洪水」は、人間の経験する危機を象徴するものです。それを表しているのが「ノアの洪水」の出来事でした。ノアの600歳の2月17日に始まった洪水は、翌年の2月27日に終わるのです。丸々一年間、地球は水で覆われたのです。そしてノアが601歳の時、地はかわききったのです。それを聖書は「むしり取ったばかりのオリーブの若葉」が鳩のくちばしにあるという印象的な言葉で表現しました。藤井武はこのオリーブの若葉について「それは数ふるに足らぬ小さき緑の一葉に過ぎません。けれどもその中に、来るべき世界の全部が籠っていました。是さへあればもう大丈夫であります。ノアはまだ飛石のやうな山々の頂きのほかに、何らの陸地をも認めませんでした。併し、この一葉を手に入れた時、彼は確実に新しき国を受け嗣いだのでありました。」と、感動的な言葉で表現しました。そうです!「かわききった大地」は、命を生み出さない荒廃した土地ではなく、豊かに命を生み出す「かわききった大地」なのです。徹底的な裁きを経た後に、神の赦しの中で新たに生きることが出来るように、神がお与え下さった大地なのです。それは、神が天地創造の時、「かわいた所を地と名づけ」(創世記1:10)、その地を豊かな実のりをもたらす地とされたこと(創世記1:11~12)の再現なのです。