7月13日(日) 礼拝メッセージ要旨
「心の思いを変えられる神」 創世記8章20~22節
今、日本で公開されている映画に「ノア」があります。文字通り聖書の「ノアの洪水」を題材にした映画です。その副題が「約束の箱舟」となっております。「ノアの箱舟」が別の呼び名で「信仰の箱舟」「救いの箱舟」「希望の箱舟」と言われているように、「約束の箱舟」も別称としてふさわしい呼び名です。それは「わたしはあなたがたと契約を立てる。……もはや大洪水が地を滅ぼすようなことはない。」(創世記9:11)という「ノアの契約」の内容を言い表しているからです。その「ノアの箱舟」が私たちに語る主題は何なのでしょうか。一つは旧約聖書全体の主題でもある「残りの者の思想」というメッセージです。すなわち本来、神の裁きにより、滅ぼされるべきものが、ただ神の恵みにより生かされ残されている。そのことを創世記7章23節の言葉が簡潔に伝えております。「主は地上のすべての生き物を……地から消し去られた。ただノアと彼といっしょに箱舟にいたものたちだけが残った。」 第二の主題は、本日の聖書の箇所に示されている「神の心の変化」というメッセージです。このことは創世記6章5~8節と、洪水が引いた後の8章20~22節を注意して比較するならば明らかです。6章では、神は人を造ったことを後悔し、すべてを消し去ろうと決意されるのですが、洪水の後の8章では、神は「わたしは決して再びわたしがしたように、すべての生き物を打ち滅ぼすことはすまい。」(創世記8:21)と決意されるのです。この神の言葉は一見矛盾しているように思われます。神は現状を見つめられ「人の心の思い計ることは、初めから悪であるからだ。」(創世記8:21)というお考えを持たれつつも、しかし、にもかかわらず、神はもう二度と人に対して、この地をのろうことはすまいと約束されておられます。つまりこの大洪水によって変わったのは人間ではなく、神ご自身であられたということです。その「神の心の思いの変化」にこそ、「ノアの箱舟」の中心のテーマがあり、洪水後の人間は、その神の恵みのもとに置かれて生きるのです。