礼拝メッセージ

3月16日(日) 礼拝メッセージ要旨

 

「広がりゆく神の国」            ルカの福音書13章18~21節

 枯れ枝に烏とまりたりや秋の暮             松尾芭蕉                                                          ある人がこの句を英語に訳そうとして、はたと困ったそうです。枯れ枝に止まっているカラスは、一羽であるのか、何羽もいるのか、わからなかったからです。日本人ならこの句は寂しい句ですから、群がって止まっているとは誰も考えないと思います。さて本日の福音書の譬話では、空の鳥が一羽だけ止まっているのではないのです。沢山の鳥が止まっているのです。原文では空の鳥は複数形です。つまりやがて主の下に憩うことができる、もろもろの世界の民を、ここですでに言い表しているのです。蒔かれた福音の種が、いつの間にか成長して、気がついた時には驚くような広がりを見せていることを示しています。またパン種の譬は、イースト菌が次第に力を表し始めるように、神の支配が世界中に及び、その影響を受けない処がないことを教えています。「全体がふくれました」(ルカ13:21)ということは、パン種がその形を失い死滅したことを意味します。そしてこのことは、まさに主イエスのご生涯を語ってはいないでしょうか。「パン種」「からし種」は何よりも主イエスご自身の働きのことを意味しているということです。主イエスの救い主としてのお働きは、ユダヤの地で、その活動期間は3年です。主イエスの影響を受けた人々の数は多くありませんでした。古代の歴史書には、その名が記されず、全く無名の存在でした。多くの業績を称讃されたローマの皇帝たちに比べれば、全く無きに等しいものでした。しかしキリスト教は、今や地の果にまで広がったのです。そしてそれは、イエス・キリストが福音という「からし種」を、あなたの心の庭に蒔かれ、「パン種」を、あなたの心の粉に入れられた時、もはや誰も制止できない、キリストの御業が始まったことを示しているのです。そのことは、今、私どもが集まり、一つの群れとして、ここに礼拝を守り、神を讃美する姿において、最もよく現わされているのです。


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