12月1日(待降節第一週) 礼拝メッセージ要旨
「献げられた者―エノク」 創世記5章21~24節
創世記5章のアダムの系図には、ラヴェルの「ボレロ」のように、同じ旋律が何度も繰り返し響いてきます。「~生きて~彼は死んだ。」というメロディーが8回も繰り返されるのです。(創世記5:5、8、11、14、17、20、27、31)しかし1ヵ所だけ、全く違った旋律が演奏される所があります。それがエノクに関する創世記5章21~24節です。その調べの終わりは、「彼はいなくなった。」です。アダムの7代目の子孫「エノク」は、死が生に勝てなかった唯一人の証人として、創世記5章のアダムの系図の中で、暗い夜空に輝く明星のように光を放っているのです。エノクがこの系図を通して、私たちに語りかける使信とは何でしょうか。それは、アダムが堕落しなかった時に持っていた、永遠の命を見せてくれたことです。エノクが死なないで昇天できた秘訣、すなわち「神と共に歩む」ということは、初めにアダムを造られた時、神が願い、望んでおられた生き方であったことを、エノクは私たちに示してくれました。またエノクの生涯は、イエス・キリストの生涯を私たちに指し示しています。神を喜ばせたエノクは、神と共に歩みながら、神を喜ばせたイエス・キリストの生涯を前もって、私たちに示したのです。エノクは「神と共に歩み」―その神の御心に従って、徹底的に一歩一歩従う―ことによって、イエス・キリストの生涯を語っていたのです。さらにエノクの昇天は、イエス・キリストが復活と昇天によって、死の力に勝利し、永遠の命に到る救いの保証となられたことを私たちに指し示しています。またエノクの昇天は、再臨の時、聖徒たちの栄光に輝く変化の姿を表しています。このようにエノクは、神の御言葉をその通り信じ、「神と共に歩んだ」結果として与えられた、特別な恵みを私たちに示し、私たちもエノクのように、「神と共に歩む」なら、同じ祝福、希望、喜びに生きることができることを私たちに語り告げているのです。