11月7日(日) 礼拝メッセージ要旨
「恵みの豊かさへの信仰」 マルコの福音書7章24~30節
愛する川瀬至長老が5日に召されました。一人のキリスト者として、84年の生涯を生き終えられました。私どもはその人柄をなつかしむこと以上に、「信仰」そのものが強く印象に残ります。本日の聖書の箇所に登場するツロの女に主イエスが語られた、あの賞讃の言葉「女よ。あなたの信仰はりっぱです。」は、川瀬至長老に対する主イエスの言葉でもあります。私どもは今朝、ツロの女の信仰を学ぶことによって、川瀬至長老の信仰の姿を見ているのです。
今ツロの女は娘の病いで追い詰められて、恥も外聞もなく切なる求めをもってイエスの足もとにひれ伏しています。一方主イエスは、叫び続ける女の願いに沈黙し、拒絶します。しかし最後はこの女の信仰をほめて、「女よ。あなたの信仰はりっぱです。」と言われたのです。主イエスはこの女の信仰のどの点を、「りっぱです。」とほめられたのでしょうか。この女の信仰の偉大さはどこにあったのでしょうか。それは①どこまでも信じ求め続ける信仰―彼女はイエスや弟子たちからの冷たい態度や言葉に接しても、なおも叫び続け願い求めキリストに近寄っていった。②自分の立場を認める素直な信仰―主イエスの福音宣教の原則は、まず神の選民イスラエルからです。彼女は「主よ、そのとおりです。」と自分も娘もイエスの目から見れば、救いの正統な対象ではないことをそのまま認めたのです。救われるに値しない自分であることを自覚しているのです。③神の恵みの豊かさへの信仰―女は『それにもかかわらず』救い主のパンが子どもに多すぎて食卓からこぼれるほど豊かであり、現に救い主イエスが異邦の地にまで来ておられる。救い主の恵みはすでにこぼれ出している。このキリストの救いのあふれる豊かさへの信仰こそ、この女の信仰の大きな中心点だったのです。そして、このあふれる恵みへの揺るがない信仰こそ、川瀬至長老を支え、失望することなく、祈り続け、神のいつくしみのみ顔を求め、イエス・キリストの福音に信頼し従う生き方の原動力となったのです。