10月13日(日) 礼拝メッセージ要旨
「この方を恐れなさい」 ルカの福音書12章1~12節
「からだを殺しても、あとはそれ以上何もできない人間たちを恐れてはいけません。」(ルカ12:4)これは有名なみ言葉です。どんなに迫害者が死をもって脅かしてきても、彼らは肉体の命を殺すだけで、魂の自由を左右することはできません。確かにここには、殉教の死を迫られた者に対する最後の慰めと励ましとがあります。またこのみ言葉から「信仰の自由」という、近代政治の知恵も生み出されてきました。今イエスは、「この方を恐れなさい。」(ルカ12:5)というみ言葉を中心にして、前後に「恐れてはいけません。」(ルカ12:4)「恐れることはありません。」(ルカ12:7)という言葉を、3回繰り返されます。その意味は、神を恐れるということを知っている人間は、神以外のものは何も恐れることはなくなるということであります。一方神を恐れない人間は何も怖がっていないかというと、実にさまざまなものを恐れながら生きているのです。神を恐れることを怠る罪と、恐れなくてもよいものを恐れる、臆病の罪とが重なり合うのです。その最もあらわな姿で見えてくるのがパリサイ人であったのです。神を恐れず、人目を気にしながら生きているパリサイ人は、「偽善者」として主イエスから批判されました。そしてパン種のように、それはたやすく増え広がり、私たちの信仰を毒してしまうから気をつけなさいと言われました。信仰はたやすく偽善に陥ります。それはいつの間にか神が問題ではなく、人間が、人目だけが、問題になります。しかし主イエスは、「人間そのものを恐れるな。人間が奪えるのはせいぜい、あなたがたの体だけではないか。なぜそれを恐れるのか。彼らはあなたがたの魂を殺すことができないのだということを、よく知りなさい。」と言われるのです。これは励ましの言葉であります。私たちに勇気を与え、慰めてくださるお言葉なのです。その主の慰めを聴き取る人は何と幸いな者でしょうか。