1月1日(日) 新年礼拝メッセージ要旨
「高い山に登れ―2012年を迎えて」 イザヤ書40章1~11節
2012年は、日本にとってまさに21世紀のバビロン捕囚の時代を生きようとしているのだと思わされております。昨年3月11日の東日本大震災は、多くの人の命を奪い、自然も生活と仕事の場も破壊され、原発事故により汚染され、避難先や、仮設住宅での生活を強いられているのです。この冬空の下で、自分のふるさと、思い出のいっぱい詰まっている元の場所に戻りたいという、望郷の念を抱きながら日々生き抜いている人々が150万人いるのです。それはイザヤが預言した南ユダ王国が、バビロンとの戦争に敗れ、神殿や城壁は崩壊し、エルサレムは廃墟の街となり、多数の民が捕囚としてバビロンに連行されるという「荒野の時代」と重なります。イスラエルの民も異国の地で望郷の思いを熱くしながら生きていたのです。その荒野に生きる人々に、慰めと希望の使信が届きます。それは「荒野の時代」の終わりを告げる声です。さばきの時は終わり、苦しみの時は過ぎ去る。解放と回復の時が訪れようとしている。(イザヤ40:2)だから主の道を整えよ。もうすぐ王である主が勝利して戻ってこられる。その主の栄光の姿を見る。それは新しいことがこれから始まることの知らせなのだとイザヤは語るのです。(イザヤ40:3~4)その良い知らせを伝えるために、高い山に登れと主は命じられるのです。バビロンの高い山から故国エルサレムに向かって、力の限り声をあげている捕囚の人々の姿を想像してください。ユダの町々に残っている貧しい人たちが、荒廃した地で耐えつつ生きているのです。その残れる者と一つになり、同じ大地で生活できることを知らせる声が、地平線の彼方にあるシオンの丘に向かって響くのです。それは復興に向かって新しい年を歩み始めた東日本大震災にあわれた人々に私たちが伝える、希望の使信でもあるのです。古きは去り、これから新しい何かが始まる。そのことを告げる声なのです。混沌として深い霧に包まれているような新年を迎えました。今年の歩みがたとい、いかに行き詰まる時であったり、いろいろな問題や戦いがあったとしても、「見よ、あなたの神を」(イザヤ40:9)という力強い呼びかけの声に、信仰の姿勢を正して、神への復元力を失うことなく、その力ある御腕で私たちを支えてくださり(イザヤ40:10)やさしい御腕をもって、引き寄せ抱きかかえ守られる主に、目を注いで歩んでまいりましょう。