1月16日(日) 礼拝メッセージ要旨
「この主のもとに来なさい(2)」 ペテロの手紙第一2章3~6節
この「主のもとに来なさい。」(ペテロの手紙第一2章4節)というペテロの言葉には、ペテロの主イエスの弟子としての歩みの中での、さまざまな出来事が縒り合され、編み上げられた言葉といえます。 Ⅰ それはガリラヤ湖での主イエスとの出会いに始まります。ただの漁師にすぎなかったペテロが主イエスの「わたしについて来なさい。」(マルコ1:17)という招きの言葉に従い、人を漁る漁師としてのペテロがここに誕生します。ペテロにとって「主のもとに来なさい。」ということは、主イエスの方からの一方的な働きかけから生み出されたものでした。 Ⅱ それは、主イエスがいよいよエルサレムに御顔をまっすぐに向けられ、十字架の道を進んでゆかれる決意を明らかにされる中で「自分を捨て、日々自分の十字架を負い、そしてわたしについて来なさい。」(ルカ9:23)という主イエスの言葉に従い、キリストの弟子として歩み続ける中で、ペテロは主イエスの十字架を前にして、三度主を知らないと否定しました。そのペテロのために主イエスは「わたしは、あなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈りました。」(ルカ22:32)と、すでに祈っておられたのでした。主が振り向いてペテロを見つめられた時、「あなたは三度、わたしを知らないと言います。」(ルカ22:34)と言われた主の言葉を思い出し、慟哭の涙を流す中で味わった苦い思いと、主イエスの恵み深い支えの中で再び主のもとに来ることができた重い経験から深く悟った言葉でした。 Ⅲ ペテロにとってこの「主のもとに来なさい。」ということばが決定的なものとなったのは、復活のキリストと再び出会った時でした。ペテロはガリラヤ湖に戻り、漁師の仕事に復帰したものの、失意とむなしさの日々を過ごしていた彼の前に復活のキリストは立たれ「あなたはわたしを愛しますか。」と三度声をかけられ「わたし従いなさい。」(ヨハネ21:19)と再び主のもとに招かれたのでした。 ペテロのこうした生涯の転機となった三つの出来事を通して、この「主のもとに来なさい。」という行為は、全生涯を通して繰り返し行うことにほかならないことを私どもに語っているのです。ですからペテロはその手紙を恵みの讃美をもって始め、恵みの証と「この恵みの中にしっかりと立つ」(ペテロの手紙第一5章12節)ようにと勧めて終わらせました。ペテロは今確信に満ちて私どもに語りかけるのです。「わたしはすでに、主が恵み深い方だということを味わいました。この主のもとに来なさい。」と